野菜用の高層マンション！？未来の野菜工場はこんな感じなのかもしれない

Pintrestでレタスの植物工場を作るの動画を見つけました。

こんな上から下までレタスが植わっているなんて見たことないですよね。

　この動画に出てくるレタスのタワー見てすごい未来感あふれるアイテムだと思いました。もしかしたら未来の野菜工場はこんな姿なのかもしれません。

　ということで、今回はこのタワー型の野菜工場の仕組みについて紹介します。

これは野菜工場？

この野菜工場タワーは「Tower Garden（タワーガーデン）」と呼ばれます。2023年の日本ではまだ馴染みがありませんが、2011年にアメリカの農業技術企業であるBright Agrotechが垂直農法の一種として開発し、販売を開始したのが始まりだと言われています。

それから12年が経過し、現在では「Tower Garden」と検索すると、多種多様な製品を見つけることができます。画像からも分かるように、派生した多彩なスタイルが開発され、今や野菜工場を目指して日々開発が進む新興技術の一つとなっています。

Tower Gardenってどんなもの？

　Tower Gardenとは垂直農法を用いた栽培システムで、下の写真のようなタワーの穴にに植物が入ったポッドをセットして、植物を育てます。このシステムは縦の空間を活用できるため、小さい土地でも効率的に栽培ができるメリットがあります。

そして、Tower Gardenで栽培する場合、定期的な水やりは不要です。タワーガーデンは底の水のタンクから自動的に水を組み上げてタワー内部で常に水や液体肥料を循環させているので、水やりをしなくても元気に植物が育ちます。

　水をそれぞれのポッドに行き渡らせるために、タワー内部には分散版や充填物が入っています。

分散版の場合、均等に穴が開いた板が何層も入っており全体的に水が行き渡るような仕組みになっています。

充填剤の場合は、タワー内部に詰め込まれた充填物を伝って水が拡散していくことで均等な水やりができる仕組みです。

分散版や充填物は石油化学コンビナートで古くから研究されている技術でもあり、均一に拡散させるためには様々なノウハウが求められます。

　コスト重視で複数のシャワーノズルを分散配置することでする場合もあるようです。

Tower Gardenの可能性

　Tower Gardenはロボットとの親和性が非常に高いと考えられています。タワーの穴にポッドを差し込んで栽培するというコンセプトはロボットと相性が良く、ポッドをロボットで取り扱うことができれば、多くの作業を自動化できます。また、ポッドはどれも同じ形状なので、ロボットで簡単に取り扱うことができます。そのため、種まきやタワーへの設置、回収（収穫）などの作業は、ロボットで全自動化できる可能性があります。

一般的に野菜の形状は一定ではなく、育っている位置もバラバラなため、ロボットでの取り扱いが難しいとされてきましたが、Tower Gardenではポッドを使用することにより、一定の形状で取り扱うことができます。そのため、ロボットを使用した全自動野菜工場の実現が可能であると考えられています。

おまけ（作り方）

　Tower Gardenはまだまだ、発展途上な技術です。日本ではまだあまり認知されていないこともあり、Tower Gardenを購入することも難しい状況です。そんな中でもTower Gardenをやってみたいという人のために作り方がわかる情報を載せておきます。

1. 塩ビパイプの外周方向に切れ込みを入れる
   塩化ビニール管に６０°ずつ切れ込みを入れます。もしパイプの径が小さい場合は、90°や120°ピッチでも大丈夫です。切り込みはパイプソーで入れるのがおすすめです。
   
   
   
2. 切れ込みの周りをヒートガンで加熱する。
   切れ込みを入れた箇所を変形させて、プランターを取り付けるための開口部を作ります。塩化ビニルの熱変形温度は57〜82℃ですので、ヒートガンで加熱すれば十分に柔らかくなります。
   
   
3. 切れ込みを拡張
   加熱して柔らかくなったら、切れ込みに単管パイプを斜めに差し込み、穴を作ります。この時には、単管パイプを使用することをお勧めします。なぜなら、単管パイプの外径が48.6㎜であり、直径が48㎜のメッシュポッドがぴったりとフィットするからです。

後はこの作業を繰り返して、好きな高さのタワーを作ります。

4.タワー内部に充填物、、シャワーノズルを設置

　タワーの最頂部にシャワーノズルを取り付けます。さらに内部に充填物かシャワーノズルを取り付けて内部に均等に水が行くようにします。

ポンプとシャワーノズルを組み合わせて、水を循環させるシステムを作ることもできますし、散水タイマーを蛇口に取り付けて、定期的に蛇口から水を供給するシステムを作ることもできます。ただし、水耕栽培では土で栽培する場合よりも水を多く使用する必要があるため、水の供給量には注意してください。

最後に

近い将来、Tower Gardenを屋内に並べて、全自動の野菜工場が実現するかもしれません。そんな未来が楽しみです。そのような未来を待ち望みつつ、まずは水耕栽培を試してみるのも良いかもしれません。水耕栽培は土壌による病気や害虫の心配がないため、無農薬で栽培することも可能です。手軽に始められる水耕栽培をぜひ試してみて、自分で育てた野菜を味わいながら、健康的にのんびり未来を待ちましょう